馬込文士村解説板 稲垣足穂

衣巻家に転がり込んだ 稲垣足穂(1900~1977) 小説家

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大阪生まれ。佐藤春夫に認められ、大正11年【チョコレット】【星を造る人】【一千一夜物語】などを発表、話題となる。石川台・久が原などを転々とし、戦後は【A感覚とV感覚】で注目を集めた。
昭和44年【少年愛の美学】で第一回日本文学大賞受賞。

馬込のモダンボーイ
 稲垣足穂と衣巻省三は神戸時代の同窓生で、ともにモダンボーイの代表格といえる青年同士でした。大正十二年十二月、大阪の新聞社で女学生を対象にした『代表的モダンボーイ五名』の投票が行われた時には、この五名の中に稲垣の名がみられます。その稲垣が衣巻家に転がり込んで来たのは、衣巻家のアトリエでダンスパーティーが開かれていたときでした。
佐藤春夫に認められ、作品にも恵まれて、作家として順調な滑り出しをした稲垣ですが、衣巻家に来てからは酒浸りの日々を送っていました。手を焼いた省三は、ダンスの指導にきていた池内徳子に身元を引き受けてもらうことにします。
しかし不遇の作家稲垣は、その後もあちこちを転々とし、結局衣巻家に舞い戻って来てしまうのでした。

参考文献 近藤富枝【馬込文学地図】 染谷孝哉【大田文学地図】

 

 

 

 

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